福岡トレンド

2013.03.15/INTERVIEW

「九州オルレ」仕掛け人

【九州観光推進機構 李 唯美 さん】

ソウル出身、福岡在住歴8年。九州観光推進機構・海外誘致推進部で韓国からの誘致を担当されている李唯美(イ・ユミ)さん。九州のすばらしさを韓国人にもっと知ってほしいと、2012年、雄大な自然と温泉、九州の歴史、文化を五感で楽しむ散歩道、「九州オルレ」を選定。韓国と日本と、国境を越えて仕事をする彼女に、九州、福岡への熱い思いを語っていただきました。

―日本(福岡)に来たのはいつ?きっかけは?
「初めて福岡に来たのは、1999年。一人旅で、福岡、佐賀、長崎、宮崎の4県を周ったんです。私にとって初めての外国でした。日本ってこんなに近いんだなぁ、九州ってすごくいい所だなぁって思いました。そのあと、大学3年生の時に福岡大学に交換留学生として再びやって来て、人文学部・日本語日本文学科で近代文学を1年間勉強しました。」

―福岡の街の印象は?
「ソウルに比べたら田舎で小さい街だけど、商業・文化・娯楽施設も含め必要なものは全部あって、いろいろ凝縮された街だなって。近くに自然もあるし、住みやすいところだなぁ、と思いました。あとは、人がフレンドリー。福岡の人は、なんとなく釜山の人と似ている気がします。私はソウル出身なのですが、釜山に行った時と同じ感覚がしたんですよね。一人旅したときなんか、みんな特に親切にしてくれて・・・一気に福岡が好きになりました!そんな縁あってか、福岡大学の交換留学中に主人と知り合い、結婚。2004年から福岡に住んでいます。」

―実際に住んでみていかがですか?
「韓国と近いから、ホームシックにならなくていいですね(笑)海を見れば、この海を隔てて自分の国とつながっているという感じもするし、安心します。」

―福岡からいちばん近い韓国、「釜山」は李さんにとってどんなところですか?
「思い出の街。釜山からほど近い蔚山(ウルサン)大学に通っていたので、学生時代遊びに行っていたし、結婚前、主人とよくデートをしていたところでもあるんです(笑)その時は、国際市場やチャガルチ市場、釜山大学の周辺でよく遊んでいました。釜山大学の周りは、飲食店やカフェが充実しているし、セレクトショップなどもたくさん並んでいて、ショッピングするのも楽しいんです。ソウルと比べると物価も安いし!デートするにはもってこいだったんです。(笑)」

―では、現在李さんの働く「九州観光推進機構」はどんな組織なのですか?
「九州7県と経済界が、人財と資金を出し合ってできた観光誘致の組織。九州7県がひとつになって九州のいいところ、観光をPRする団体です。今は東北や四国にもありますが、こういった官民一体となって広域をPRする組織としては、九州が初。先駆けだったんですよ。」

―李さんのご担当は?どんなお仕事をされているのですか?
「韓国からの誘致を主に担当しています。旅行会社の要望、マスコミからの取材依頼など、韓国と九州各県の間に立って、双方をつなぐ仕事をしています。」

―その一環として、最近「九州オルレ」というのを作られたそうですね!これはいったい?
「まず“オルレ”というのは、韓国の済州島の方言で“家に帰る細い道”という意味です。今、丸い形をした済州島をほぼ一周するトレッキングコースがブームになっていて、年間200万人近くの人が済州島を訪れているんです。「済州オルレ」は、スペインのサンティアゴにある“巡礼の道”をヒントにしていて、現在24コースが設けられています。2007年にできてまだ5年ですが、韓国人はみーんな知っています。それくらい有名なんです。その土地のありのままの姿を見ることができ、観光化されていない道を歩いて巡るというのが大きな特徴です。季節によって島の表情は変わるし、何度行っても自然は全く同じということはありませんからね。」

―ではなぜ、そのオルレを九州で作ることにしたのですか?
「一番は、九州の本当の姿、人の良さ、自然の奇麗さを肌で感じ、知ってもらいたかったということ。観光地を点々と回る忙しい観光ではなく、地に足が着いた観光をしてほしい。それで思いついたのが私自身も体験し、魅了された「済州オルレ」の九州版、「九州オルレ」だったんです。」

―どんなコースが設けられているのですか?
「現在、【佐賀県武雄コース(14.5km)】、【熊本県天草維和島コース(12.3km)】、【大分県奥豊後コース(11.8km)】、【鹿児島県指宿開聞コース(20.4km)】の4つです。ただの道ではなく、どのコースも自然の中を歩くヒーリング的要素や、その土地の歴史、物語性を感じられるものになっています。」

―簡単に各コースご紹介いただけますか?
「まず【佐賀県武雄コース】は、4つの中でいちばん地域に密着したコース。終点が【武雄温泉】になっているのがポイントです。【熊本県天草維和島コース】は、天草四郎の歴史や太古の自然など、時代の流れを感じられるダイナミックなコース。恋人と行くならここがオススメですよ。神秘的な感じがしますし、なにより、人にほとんど会うことがないので(笑)ぜひ行かれてみてください!」

―デートとしても使えるわけですね(笑)
「そうなんです!それぞれのコースに特色があります。【大分県奥豊後コース】は、歴史の道。城跡や九州最大の磨崖石仏がある寺を通り、城下町までを歩くコースになっています。そして、私が両親と行きたいと思っている【鹿児島県指宿開聞コース】。距離的にはいちばん長いのですが、道がずっと平坦なので歩きやすいんです。ゆっくりおしゃべりしながら散歩気分で海辺を歩きたいな、と。終わったあとはもちろん砂蒸し温泉へ!「済州オルレ」にはなく、「九州オルレ」にあるのが、この“温泉”なんです。4コース全てに温泉が入っているんですよ。」

―どのコースもコンセプトがしっかりしているんですね!
「そうなんです。だから「どのコースが一番いいですか?」って聞かれるのがいちばん困るんです(笑)それぞれに個性と魅力があるし、どれもおすすめです!」

―コースはどのようにして決めたのですか?
「各県からコースの提案をしてもらって、実際に私たちが行って、見て、決めました。“アスファルトの道はできるだけ避ける”“子供からお年寄りまで誰でも歩ける”“景色や見どころがある”“一人でも行ける安全な場所”など、いくつか選定基準があるので、それを考慮しつつ、(社)済州オルレにもアドバイスをもらって決めました。自然と食と温泉、九州の魅力がいっぱい詰まっていますので、全部堪能していただき、最後は福岡で買い物して帰る(笑)そんな過ごし方はいかがでしょうか。」

―今後、福岡コース選定の予定もあるのですか?
「もちろんです!福岡もそうですが、まだできていない他の地域でも作る予定です。楽しみにしていてください。」

―では最後に、今後の目標、日韓においてどんな存在になりたいかなどありましたら、教えてください!!
「韓国と日本は近いけれど、お互いに知らないところはまだまだたくさんあります。九州のあちこちに韓国とのつながりはあるし、もっと民間での交流ができるような手助けをしていけたらと思っています。また、そのきっかけの一つに「九州オルレ」がなればいいなと思っています。」

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