福岡トレンド

2015.10.22/INTERVIEW

「博多伝統工芸」―「有限会社マルティグラス」

連載「博多伝統工芸」の最後は、「有限会社マルティグラス」をご紹介します。透明感があって美しい色のガラス工芸品は、日本はもちろんアジアでも珍しく、高度な技術力が認められ、福岡県知事指定特産工芸品に指定されています。髙田泰良代表取締役にマルティグラスについてお話を伺いました。

・マルティグラスの歴史を教えてください。
1919年、中島広吉が「中島硝子製造所」を設立したのが始まりで、100年近くなります。1937年のパリ万博に「大鉢」を出品し、日本の硝子としては初のグランプリを受賞したことも有名です。1999年まで福岡市東区和白で制作を続けましたが、工場を閉鎖し、元の職人と有志6人がマルティグラスの社名・商標を正式に受け継ぎ、現在の有限会社マルティグラスを設立しました。

・マルティグラスの特徴・魅力は何ですか。
 社名にもなっている「マルティグラス」は、様々な色ガラスを何層にも重ね合わせて作り出される「多重積層ガラス」のことで、英語の「MULTIPLE LAYER GLASS(マルティプル・レイヤー・グラス)」からとっています。多彩な色を表現できるのが特徴で、全部で250色を作ることができ、常時100色は作品に使っています。
1,500度のるつぼの中で溶解されたガラスを配合するのは難しく、微妙な違いで弾けてしまいます。ガラスの置物を作る技術は簡単に習得できるものではなく、日本全国でも職人の数は少ないです。私が思うには10年の修行を経てようやくスタートライン、美しい作品を作るには30年以上は必要だと思います。
作品は熱、速度などによって色が変わるので、まったく同じ作品は一つもないのも魅力です。当社ではガラスの原料にもこだわっていて、全ての作品に透明度Aランクの原料を固執しています。美しい色を出すために高い透明度は欠かせません。

・これからのガラス工芸について、また海外展開についてどう思われますか。
るつぼを1,500度まで加熱するのに灯油を使用し、多い時は一月の灯油代が180万円、平均でも110万は必要です。この過酷な環境により、全国からガラス工房が減っている状況です。作品を絞って特化しないと生き残れないと判断し、当社では「置物」に特化して皆様に愛されるようになりました。
現在、外国との取引は行っていません。卸し先の販売店から外国へ輸出したり、外国の方に販売したりすることはあると思います。海外展開にも興味がありますし、特に、韓国は距離的にも近いので魅力的です。アジアの方にとってガラス工芸は「ヨーロッパ」のイメージが強いですが、距離も非常に近い、同じアジアに本格的なガラス工芸があることを知っていただけるなら可能性はあると思います。

・ホームページをご覧の方、特に韓国の方に一言お願いします。
ガラス工芸に触れて、良さを知っていただきたいと思っています。依頼を頂いて地元の中学生の体験も行っています。個人や大人の方の体験はできませんが、工房に来られた方の見学は歓迎します。外国の方でも日本語が通じれば詳しく説明いたします。特に、韓国の方には、ベネチアンガラスを遠いヨーロッパではなく、近い「福岡」で見つけて欲しいです。

 「マルティグラス」の工房は福津市にありますが、博多駅からのアクセスも便利で、片道40分程度で到着できます。敷地内の販売店では豊富な種類のガラス作品をお得な値段で購入でき、工房で制作の見学もできます。るつぼの熱で工房内は熱く、冬場には特にお薦めです。注文制作も可能な「マルティグラス」で、北イタリアの雰囲気を味わうのもいかがでしょうか。

※「有限会社マルティグラス」の情報
住所:福岡県福津市宮司3丁目18-2
TEL:0940-34-5370
FAX:0940-34-5371
営業時間:9:00~17:00
定休日:盆・正月(工房は木曜・第2第4水曜 休み)
電車:JR鹿児島本線福間駅下車、タクシーで約5分
バス:JR福間駅から西鉄バス→宮地嶽神社前バス停下車徒歩約10分

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