福岡トレンド

2015.07.13/INTERVIEW

「博多伝統工芸」―博多鋏「高柳晴一」先生

今回は「博多鋏」をご紹介します。長い歴史と作品の美しさで有名な「博多鋏」ですが、現在、作品を制作しているのは「高柳晴一」先生お一人だけです。高柳先生に「博多鋏」の魅力を伺いました。

・「博多鋏」の歴史を教えてください。
今から約700年前、南宋の謝国明が博多に鋏を持ち帰ったのがその始まりだと言われており、博多鋏と呼ばれる前は「唐鋏」と呼ばれていました。江戸時代の終わり頃に、博多箔屋町の刀鍛冶師「安河内卯助」がこの「唐鋏」の製作に取り組み、世に広まりました。平和な時代が続き、幕末の廃刀令などで刀が売れなくなったためだと思います。今の「博多鋏」と呼ばれるようになったのは、明治の中頃の事だと思われます。130年くらい前ですね。ちなみに、鹿児島県の種子島にもよく似た鋏があって「種子鋏」と呼ばれています。別のルートで日本に来たのでしょうね。

・「博多鋏」の魅力は何だと思われますか。
不思議だと思いますが、「博多鋏」が世に出た時は何を切るためのものか、決まってなかったそうです。必要を感じて道具を作ったと言うよりも、よい道具があるのでそれを使いこなして欲しい、と言うことでしょうか。実際、「万能鋏」として販売されていました。
「博多鋏」は左右が同じ大きさと形で、対称性が特徴です。形の美しさ、優れたデザイン性が魅力だと思います。足の部分にひし形の模様があって「菱足」と呼びます。機能性だけで考えればさほど必要ありませんが、やはり美しさを増してくれます。

・制作の様子を教えてください。
炭素を多く含んで硬性の優れた鋼と柔らかい地金を接合して作ります。よく切れて、折れにくくするためです。すべて手作業で、1,000度に加熱した金属の塊を、何回も打って鋏の形にしていきます。すぐに冷めてしまうので一回に打てる時間は30秒くらいでしょうか。適温の判断は色で決めるので、感覚を澄ませ、瞬時に動かないといけません。
手作りは大変だけど、その分、自由に形を変えて作品を作ることができます。これからも伝統的な形を守りつつ、新しい作品も作っていきたいと思っています。

・ホームページのご覧の方に、また韓国の方にメッセージをお願いします。
完成したばかりの「博多鋏」は美しく光っていますが、本当の美しさは30年くらい使い続け、セピア色になった頃だと私は思います。日用の道具となって、いつも手の届く場所、部屋のそこらへんに転がっているのが一番理想的ですね。
韓国は2年前に展覧会に参加しましたが、「博多鋏」の人気には驚きました。また、温かく迎えてくれた韓国の方には感謝しています。料理が美味しかったのも印象的でした。鋏が伝わったルートは中国以外に、朝鮮半島を通って日本に到来した可能性もあると思います。そのつながりを研究し、新しい作品を作るのも楽しいと思います。

この日は工房で先生の作品を二本、菱の模様が入ったキラキラ輝く鋏と足の部分を燻して黒くしたお洒落な鋏を拝見することができました。両方とも美しい作品でした。代々継がれて使うもの、道具でありながら芸術作品を使う喜びが味わえる「博多鋏」。購入は予約販売のみで、現在(平成27年7月)は納品まで約4か月かかるそうです。

・工房の情報
博多鋏製造元 高柳商店
住所:福岡市博多区冷泉町6-28
電話及びFAX:092-291-0613

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