福岡トレンド

2015.08.05/INTERVIEW

「博多伝統工芸」ー博多人形「稲富昭満」先生

今回は博多人形師の稲富昭満先生を取材しました。先生は「伝統工芸士」に認定されており、3度の内閣総理大臣賞を含む多くの賞を受賞された博多人形の名匠です。伝統的な人形はもちろん、高さ2メートルを超える力士の博多人形や高さ10メートル近くの巨大な「なまはげ」の像など、依頼者の希望を満たす、自由で新しい作品も制作しておられます。

・「博多人形」を始められたのはいつからですか
実家が佐賀の窯元で、子供の頃から粘土で物を作っていました。15歳の時に人形メーカーに就職したので、もう60年くらいになるでしょうか。会社の仕事でたくさんの先生の作品に触れる機会があったので、それだけ多様な分野から学ぶことができました。人形師は定年がないし、好きな人形が作れるので良いですよ。
しかし、「博多人形」の環境も変わりました。今の住宅は床の間が狭くなったり、無くなったりで、人形を飾ることも少なくなりました。25年ほど前からそれに気づき、洋間に似合う人形を作るべきだと思って制作してきましたが、今になってようやく認められている感じがします。「博多人形」は時代遅れになっているのではと心配になります。

・先生の作品の特徴は何ですか。
今までは繊細で精密な作品を作ってきて、またそんな作品が人気もありました。最近は、「感性」だけで作る人形が良い作品だと思っています。例えば、読んですごく感動した小説が映画になった時、その映画を見ても何かが違うと感じ、同じ大きさの感動は味わえないことが多いですね。作品を見る側の感性が働かないからだと思います。人形も、細部まで完璧に作りこんだ作品だと最初は良いけど、1週間も経つと飽きてしまいます。足りない部分を、見る人が完成させてくれるような「余白」を持った作品こそ本当に良い作品だと思います。

・これからの「博多人形」についてどう思われますか。
やはり環境や好みの変化に合わせた作品を作るべきだと思います。私も最近、屋内だけではなく、庭などの屋外に飾るための人形も作っています。粘土を塩で焼くと煉瓦のようになり、屋外に置いても大丈夫です。そのうちに苔が生えたりすると、また変わった表情が楽しめます。
海外市場にも興味があります。ただ、海外に「博多人形」を持っていくためには、その国の人々が知っている人物や文化、子供の頃に楽しんだ遊びなど、接点のあるものでないと受け入れられにくいと思います。韓国なら韓国の伝統舞踊の格好や動き、伝統衣装を着た人形が親しみやすいでしょう。そのためには韓国文化の調査や研究が必要になりますが、新しい事に挑戦してみたいです。

原点を究め、さらに新しい、斬新な作品を制作してこられた稲富先生の工房には、様々な作品が展示されていました。牡蠣殻から作った胡粉を使った真っ白な、しかし温かくて美しい作品など日本や中国の伝統文化にちなんだ古くからの「博多人形」や、ユーモラスな表情や形・動きをした作品などの先生がおっしゃるには「手抜きした」、見る人の感性を高めてくれる作品があり、ずっと見ていても飽きないと感じました。作品は注文制作も可能で、好きな人物や肖像も作品にできるそうです。

・工房の詳細
昭満人形
住所:福岡市早良区早良6丁目18-50
電話/FAX:092-804-5906
ホームページ:http://www7a.biglobe.ne.jp/~akimitsu1703/

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