福岡トレンド

2012.08.24/COLUMN

アジアの文化 -日韓少女漫画事情2(1/2)

日本で読まれる韓国少女漫画―気になる韓国最新作品、楽しさの共有―
福岡女学院大学人文学部現代文化学科 准教授 佐島 顕子


 ギャグとせつなさが混じるロイヤルウエディング・ラブストーリー『らぶきょん』。気品ある人生観が光る美少女ファンタジー『シェル』。日本人も登場する、17世紀の体当たり異文化交流ドラマ『タムナ』。翻訳のタイムラグが短くなってきている今、玄界灘をはさんで日本人と韓国人が同じ作品で笑ったり感動する時代が来た。

ドラマで楽しみ、漫画で楽しみ
 昨年秋から日本各局で放送が始まったドラマ『タムナ~Love The Island』は韓国の同名少女漫画が原作である。ちなみにこのドラマ制作チーム「グループエイト」は日韓の少女漫画を原作に選んで成功している。前作は神尾葉子『花より男子』、そのまた前の『宮』はパク・ソヒの『らぶきょん』だった。
ドラマヒットと前後しつつ、日本でも『らぶきょん』、『タムナ』の翻訳刊行が続いている(念のために申し添えると、筆者の『らぶきょん』翻訳開始は、ドラマ化より前である)。
 ドラマ人気のおかげで漫画がたくさん読まれるのは確かだが、原作漫画が読めることでドラマに奥行きが生まれ、ドラマの人気がいっそう上がるという相乗効果もある。

『彼女たちのクリスマス』まで
 韓国少女漫画が日本で読めるようになったのはいつからだろう。女性をヒロインとした青年漫画としては、李賢世『純姫』、黄美那『允姫―ユニ―』(講談社モーニング)が日本で出版されたが、少女漫画ではなかった。90年代タイガーブックスから、韓国の人気少女漫画群が邦訳されたが、「今なぜこの作品を?」と首をかしげるラインナップだった。ウォン・スヨン『フルハウス』もパク・ヒジョン『ホテル・アフリカ』も発表当時はたしかに大人気だったが・・・。「韓国で有名作品だったから日本でも」という安直な理由で選ばれたのだろうか。漫画の旬は短い。どんなに人気があっても、発表から数年以上経過した作品は「古い」のである。危惧した通り、それらは完結に至る前に刊行中断された。
 2000年代にはいると、日本のメジャー出版社が、目の肥えた日本読者が満足する良質な作品を韓国で探すようになる。こまやかな心理描写が光るハン・ヘヨンの短編集『彼女たちのクリスマス』(小学館)(図版1)は、日本少女漫画界の大御所・萩尾望都の推薦文をつけて出版された。

(次回へ続く・・・)


図版1
ふと共感を覚え、心いやされる『彼女たちのクリスマス』(ハン・ヘヨン)
©ハン・ヘヨン/小学館


図版2
韓国の本は横書きなので翻訳版も横書きです。『らぶきょん』©新書館


図版3
翻訳作業はポストイットを貼って書き込み。『らぶきょん』
©パク・ソヒ/ソウル文化社


図版4
随所に深いセリフが光る、きれいな作品『シエル』©新書館


図版5
元気いっぱい済州島ラブコメディ『タムナ』©新書館

佐島顕子(さじまあきこ)
1963年生まれ。福岡県出身。九州大学文学部大学院(史学)博士課程中退。福岡女学院大学人文学部現代文化学科准教授。
共著『漫画研究の扉』(日下翠編、梓書院)など。パク・ソヒ『らぶきょん~Love in 景福宮』、『小説・らぶきょん』、チョン・ヘナ『タムナ~Love The Island』、イム・ジュヨン『シエル』等の韓国少女漫画を新書館から翻訳。


※ この記事は、(公財)福岡アジア都市研究所「都市情報誌fU+」第10号
 (2010年12月17日)「アジア文化」から転載しています

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